RESEARCH
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複合材料にかかわる研究テーマ
繊維強化複合材料積層板の損傷メカニズムと耐損傷性向上に関する研究
繊維で補強した層を重ね合わせて作成する積層板では繊維方向以外の横方向や板厚方向の強度が低く、樹脂割れ(マトリックスクラック)や層と層の剥がれ(層間剥離)が生じやすい弱点を有している。航空宇宙構造への積層板の適用に際し、懸念される一連の損傷メカニズムや非線形挙動に関する理論的・実験的研究を進めるとともに、これらの損傷抑制を目指した耐損傷性向上技術の追求を行っている。
ナノ材料を用いた複合材料の高機能化に関する研究
カーボンナノチューブをはじめとするナノ材料は優れた力学的特性や熱、電気、ガスバリア特性などの優れた特性を有することが知られている。これまでの複合材料の弱点を補う、あるいは更なる高性能化を目指して、ナノ材料や高機能樹脂を用いた多機能複合材料の製作を試み、その実験的評価を行うと共に、各特性の予測モデルの確立をはじめとする理論的な研究を実施している。
複合材料の成形・製造技術に関する研究
より低コストに、より早く、ノウハウレスに複合材料を成形するための成形手法や成形装置、製造プロセスに関する研究を行っている。
複合材料の先進的試験評価技術に関する研究
複合材料の適用拡大や各種複合材料の出現に伴い、複合材料の特性評価や健全性評価技術を確立し、標準化を進めることは非常に重要な課題となっている。複合材料で使用される繊維・樹脂、それを組み合わせた複合材料やサンドイッチ構造などの力学的、破壊力学的特性評価法について、理論的・実験的な研究を実施している。
航空機構造に関わる研究テーマ
複合材製航空機構造の補修に関する研究
現在までアルミ合金などの軽量金属構造が主流である航空機構造であるが、近年のボーイング787やエアバス380に代表されるように、更なる軽量化・効率化のために複合材構造が航空機の主要構造となりつつある。航空機を製造・運用する上で、複合材構造に適した接合技術や運用中に生じる損傷を補修する技術を複合材構造についても確立しておく必要があり、接着構造や複合材パッチをはじめとする効率的な接合・補修方法、その効率的な製造プロセス、及び安全性の確立を目指した研究を進めている。
可変翼構造に関する構造力学的研究
航空機の飛行プロファイル(離陸、巡航、着陸など)に応じた最適な飛行形態をとることで効率、経済性、安全性の向上を図る技術が切望されている。現在のフラップなどの可変機構をより高性能化する可変翼構造の検討を行うと共に、構造力学的に実現可能な構造様式について探求している。
ファイバーメタルの耐損傷性に関する研究
金属構造のき裂進展特性向上を目指して開発された、金属と複合材との融合構造であるファイバーメタルについて、き裂進展特性向上メカニズムに関する研究を実施している。
航空機構造の衝撃損傷挙動やエネルギー吸収に関する研究
宇宙構造物にかかわる研究テーマ
高強度膜構造の力学的挙動
宇宙空間で膜面を展開する宇宙大型構造の開発が盛んに行われており、姿勢制御に伴う面内荷重に対する耐荷性とともに、デブリ衝突による破損に対する耐久性が求められている。繊維束を面内3方向に織り込んだ三軸織物をはじめとする高強度膜構造に関し、力学的特性、熱的特性などの評価を実施すると共に、挙動予測モデルの開発を行っている。
大型宇宙構造物の動力学解析
宇宙における大型展開構造物(長大テザー、はり構造、トラス構造、膜構造など)の挙動予測を解析的に行うことは非常に困難である。効率的な動的大変形シミュレーションに適したはりモデルや膜面モデルの構築を試みている。また、大規模宇宙構造に必要な高精度化や軌道上状態同定技術の開発も進めている。